研究紹介 Research

本RUでは、円環状に配列させたπ電子系化合物群を合成し、その構造に起因する特殊なπ電子機能の解明、そして新しい機能・コンセプトに基づく新材料の創出を目指します。

非局在化するπ電子は、有機化合物の安定性や反応性、芳香族性といった基本的な性質のみならず、色や発光、エネルギー変換や貯蔵・捕捉といった光化学と大きく関わっています。植物の光合成や有機EL、有機薄膜太陽電池(OPV)などもすべて、π電子とそれを収容するπ軌道が大きく関わっています。このようなπ電子が関与する機能は、最先端の解析手法や理論計算を用いて解明・開拓する研究とは別に、新しい分子構造を構築することで、自在制御が可能になると考えられます。

そこで本RUでは、従来あまり用いられてこなかった合成手法を駆使して、円環状に配列させたπ電子系化合物群を新たに合成します。光(励起)エネルギーや電荷・スピンが、分子の構造やゆらぎと関連してどのように振る舞うのかを精査し、円環状に配置された有限のπ電子軌道を介する無限配列(スタッキング)とみなせるのかどうかを検証します。標的物質の合成と精密な構造解析、溶液のみならず結晶(や単一分子)の光物性解析を行うことが可能な三つの研究グループが、RUとして円環型π電子系化合物の物質創成に取り組むことで、新しいπ電子系の科学を開拓します。

円環型π電子系の分子成物質創生研究ユニット 画像